『国宝』の世界にハマってしまった話②声と時間のからくり

ここでいう『国宝』とは、主演・吉沢亮さんで話題の映画『国宝』であり、吉田修一さんの小説『国宝』であり、映画は2025年6月6日に公開してからもうすぐ4ヶ月。9月23日についに興行収入が150億円を突破の歴史的な大ヒット記録中なわけですが、そんな『国宝』の世界にどっぷりハマってしまっている今日この頃。このハマりっぷりをブログに残します。
Audible版『国宝』 声の主は、『五代目』尾上菊之助
Audible版『国宝』で聴こえてくる深く艶のある声。その主、尾上菊之助さんを調べてみて、私は歌舞伎界の奥深さに改めて触れることになりました。朗読をされたのは「五代目」尾上菊之助さんであり、今年の5月に「八代目 尾上菊五郎」という大名跡を襲名されていたのです。
つまり、今「尾上菊之助」と言えば、それはご子息の六代目を指します。同じ名前でも「代」が違えば人は違う。この「〇代目」というのが非常に重要で、小説でも主人公が「よ!三代目!」と掛け声をかけられます。歌舞伎役者の方々の名前を見るとき、「何代目の方なのか」という視点が不可欠だと痛感します。
そして、第一線で活躍される歌舞伎役者が語る『国宝』は格別でした。独特の言い回しや空気感が、これ以上なくリアルに伝わってきます。活字だけでは掴みきれない物語の深みを味わえたのは、間違いなくナレーターの力。Audibleで聴いて大正解でした。
『国宝』の再生時間に絶望しかけたら、最高の「勘違い」だった
Audibleで『国宝』を聴こうと決めたときに驚くのは再生時間。私は再生時間を見て固まりました。
国宝(上)青春篇 21時間7分
国宝(下)花道篇 22時間2分
…合計約43時間。聴き終わる頃には映画終わってない?と本気で心配になりつつも、意を決して青春篇を聴き始めましたが、聴き始めたらノンストップでした。ナレーターの力はもちろんのこと、喜久雄や俊介たちの揺れ動く心がビシビシ伝わってきて、散歩しながら聴いているのに、思わず「うわぁ…」と声が出てしまうほど引き込まれました。
順調に聴き進めていたところ、第十章まで聴き終えたら、なぜかまた第一章が始まったんです。「え、ループ?」と混乱しつつ目次をよく見ると、そこには衝撃の事実。なんとこのオーディオブック、前半が「通常版」、後半が「特別音声版」の二本立てだったのです!この構造に終盤まで気づかなかった自分にも驚きですが、つまりは実際の時間は半分。これなら余裕で映画に間に合う!と、心の中でガッツポーズしました(笑)
ーつづくー








